最近のテレビを語る上で欠かせない要素となっているのが「HDR」と「4K」。
「この2つは一体何が違うの?」
なんて思っている人もいると思います。今回はこの違いについて触れていきます。
そもそも比較対象ではないHDRと4K
HDRと4Kはテレビの映像の質を高める為の技術ということにおいて目的を同じくしますが、高める質の対象が異なるの優劣を比較することはできません。
ではそれぞれどんな技術なのかということですが・・・
画面の明るさ暗さを細かくコントロールできるHDR
HDRはHigh Dynamic Range rendering(ハイダイナミックレンジ合成)の略で、ここでは画面の明暗の階調を1,024段階にコントロールする技術規格HDR10を指しています。
以前はテレビ画面の最高輝度が100 cd/㎡(1 cd/㎡は蝋燭一本の明るさ)程度であったCRTディスプレイの時代に設定された、明暗の階調を256段階としたSDR:Standard Dynamic Range(スタンダードダイナミックレンジ)という規格がありました。
最高輝度が1,000 cd/㎡を超える、明暗の差が大きく採れる液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイの登場に伴い表現能力を大幅に高めたのがHDR技術で、HDR10規格として制定されました。それを更に高めたHDR10+、Dolby Visionの導入検討も現在進められています。最高輝度を大幅に高めたテレビの表現能力を引き出す為にHDRは必須の技術となっています。
HDRについてもっと知りたい人は「テレビにおけるHDRとは?種類は?HDR10・Dolby Vision・HLGの違いは?」という記事にまとめましたのでこちらも参考にお願いします。
画面の細かさを表す4K
4Kと言うのは、画面を構成する画素の高密度化技術です。フルハイビジョンテレビ(フルHD)が縦1,920×横1,080=2,073,600画素であるのに対して、4Kテレビは縦3,840×横2,160=8,294,400画素と4倍の画素密度を実現しています。
ハイビジョンが放映開始された時「髪の毛の一本一本が繊細に映し出される…」と謳われたのに対して、4Kは更に緻密な表現力をテレビにもたらしたのです。
既存のライブラリーにあるDVD、BDのハイビジョン映像は4Kテレビに対して置いてけ堀を危惧される向きもあるかと思いますが、4Kテレビ、4K対応のレコーダー、プレーヤーにはアップコンバートと言う機能が装備されており、映像を4Kの8,294,400画素映像に変換してくれます。更にキメの細かいスムーズな映像で見ることができます。
今年12月BS、CSでの4Kによる実用放送が開始されますが、地上波デジタルでの実用放送に関する見通しの無いことが気に掛かります。東京オリンピックに向けた先走りの面があるのかもしれません。
4Kについては「フルHD・4K・8Kの違い・実用放送はいつから?」も参考にどうぞ。
HDRはテレビに必要なのか
細かな階調表現を可能とする技術なので結論から言えば必要だと思いますが、ゲーム機のPlayStation4ではHDRモードなのに画面が暗くなるケースが発生したようです。
参考:PS4のHDR画面はなぜ暗くなったのか?:gamesindustry.biz
単純にHDRが悪いというわけではなく、使っているディスプレイの最高輝度が低いことに原因があるように思います。
性能の問題では無いのですがこれから成熟していく技術でまだまだ改良の余地がありそうです。
メーカーによって違うHDRの質
2018年時点では「HDR10」という信号の入力に対応していて映像を表示できればHDRを名乗ることができ、明るさの表現力に関しては明確な基準がありません。
同じ「HDR」の表記でも実力には差があります。
HDRは必要な機能だとは思いますが、メーカーによる表現力の違いにも注目したいですね。
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