焼きつきの原因
有機ELテレビは、電圧を掛けると光の3原色に発光する微小な高分子材料を微小電極で挟み、片面を透明電極とすることで映像が見られるようになっています。光の3原色を1組の微小画素(pixel)に多数集積し、カラー表示画面を構成しています。
ここで言う「焼き付き」とは、その微小電極に挟まれた高分子材料に長時間電圧を掛け発光させ続けることが原因となって発生する劣化現象を言います。
要は長い時間同じ画面を表示し続けることで、発光し続けた領域が性能劣化し、かも残像のように残ることを言います。
同じ画面を表示し続けることで焼きつきが起こる!
上下に帯が表示される画像やDVDやブルーレイなどのタイトル画像を表示したままにすると焼きつきが起こりやすいです。
語源はブラウン管時代
かつて、表示装置として主流であったCRTディスプレイで静止画を表示し続けた場合に顕著で、発光面が電子線の過度な照射で「焼けて」残像となったことに語源があります。
表示を休ませることで大体の場合復旧されましたが、残像が消えない場合がありました。
パソコンの操作が休止状態の時、数分で動的なスクリーンセーバー画面に変わり、静的な継続表示を避けて、「焼き付き」を防止する工夫がされていました。
液晶テレビでもある
液晶ディスプレイにも類似した残像現象があります。長時間固定的な表示をすると、液晶に含まれる少量のイオン性不純物が透明電極周りに集まり、残像のような現象を呈します。
表示画面を変えたり、休止したりすることで不純物の拡散が図れ、現象が消えます。原因が液晶材料の劣化によるものでは無い為、装置の寿命に係る問題とはなっていません。
焼きつきって直せるの?状況による
比較的軽度の焼きつきならば直せる可能性は高いでしょう。有機ELテレビのカタログを見ると
画面内の同じ位置に変化しない画像の表
示を続けたり、くり返し表示したりすると、焼き付いた画
面を元に戻せなくなります。
などと表示が見られます。あまりにひどく焼きつくと元にもどせないようです。
店頭ディスプレイとして同じ映像をずっと表示し続けるような場合は注意が必要です。
ただ、普通にテレビ番組を見たり映画を見たりといった用途では焼きつきが起こる可能性はほとんど無いでしょう。もし、こうした普通の使用で焼きつきが起こっても
- テレビの電源をオフにする
- 画面いっぱいに映像を流す
といったことを行えば焼きつきが解消する可能性は高いです。
CRT表示のテレビの時代を振り返ってみると、「焼き付き」が問題になったのはパソコンのディスプレイ或いは、株価表示機、電子看板のように固定的な絵柄を継続表示するようなケースであり、動画映像を中心としたいわゆるテレビとしての利用形態で「焼き付き」が問題視されることはなかったように思います。
よって必要以上に心配することはないでしょう。
焼きつきの対策と改善方法
有機ELテレビの残像の原因が、高分子発光材料に電圧を掛け続けることによる劣化にあることから、より積極的な対策が必要になります。輝度の高い表示を続けないこと、同じ静止画の長時間表示を避けることがポイントになります。
焼きつき対策のポイント
- DVDのタイトルや帯の入る映像などを表示し続けない
- 画面を明るくしすぎない
ことがポイントです。
また、最近の有機ELテレビはパネルの異常を監視する機能を備えていて、その性能もアップしてきている(発光する高分子材料も監視するようになったので「焼きつき問題はほぼ解消した」という人も)ので、将来的にはほとんど心配は無くなるかもしれません。
また、有機ELテレビから少し話は逸れますが、スマートウォッチでは具体的な対策として、背景には黒を基調とし全体的に輝度を下げた絵柄を用いる。アイコンの配列・位置を時間と共に変化させる。絵柄に動的なアニメーションを使う。輝度の高い静止画表示をなるべく控える。等の工夫をしているようです。
有機ELはメリットも多く将来的には焼き付きもそれほど気にすることもない
コントラスト比が液晶ディスプレイより非常に高く圧倒的な高画質をほこり、数ミリ厚のフレキシブルで軽量さも備えた有機ELディスプレイの優位性は高まる一方で、「焼き付き」の問題は改善の見通しも含め利用者が意識する問題からは外れるものと考えます。
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